3人でお墓を掃除してる時、兄貴が先輩を見つめていた。

それを見て俺は兄貴に口パクで『変態』て言ったら予想以上に慌ててた。

俺は思わず笑ってしまった。

両親のお墓に来て、こんなに穏やかな気持ちでいられるのはこれが初めてだった。

多分、真子先輩がいてくれるからだと思う。

お墓に手を合わせる。

お父さん、お母さん、俺好きな人ができたよ。

一生かけても大事にしたい人が。

俺、頑張るから!



「真子ちゃん、一緒に参ってくれてありがとね」



お墓から車に戻る途中、兄貴が真子先輩に言った。



「いえ、一緒に来れて良かったです」



そう言ってニコッと笑う。

車に乗って、今日泊まる旅館に向かった。

旅館に着いて荷物を下ろす。



「わぁ!なんかいい感じのとこだね!」



先に受付に行った兄貴の分の荷物を持ちながら真子先輩が言う。



「うん!なんかザ☆旅館って感じ!」



俺はそう言って、兄貴の分の荷物を真子先輩からさりげなく受け取る。

そして旅館の中に入ると、何やら兄貴が受付で話していた。



「あれ?なんかあったのかな?」



「行ってみようか」



そう言って俺たちは兄貴のところに向かった。



「兄貴、どうしたんだよ?」



兄貴は困った顔をしていた。