真子先輩を送ったあと、自分の家まで歩いていた。

まさか、俺の過去を先輩が知ってるなんて思わなかった。

俺の過去はあまりいいもんじゃない。

いつか先輩には言うつもりだった。

でもうまく話せなかったと思う。

だから桑原さんが言ってくれてよかった。

しかも先輩は俺の過去を受け止めてくれた。

それに好きって言ってくれた。

それを聞いたとき、そう言う意味で言ったんじゃないと分かったけど、嬉しかった。

抱きしめてくれた時、思わず涙が出そうだった。

俺、先輩のこともっと好きになった。



「よぉ隼人!今帰りか?」



帰り道の公園を横切っていると、急に声をかけられた。



「桑原さん…サボリっすか?」



公園のベンチで煙草を吸っているのは桑原さんだった。

やっぱりどう見ても警察官には見えない。ヤクザだ、ヤクザ。



「息抜きだ、息抜き。ほら、ジュース買ってこい」



そう言って桑原さんは俺の手に120円を乗っける。

そしてオレンジジュースを買って桑原さんの横に座る。



「なんだよ、お前もか。この前お前の彼女もオレンジジュース飲んでたぞ」



ケラケラと笑いながら、たばこを携帯灰皿に入れる。



「彼女じゃない…まだ今は」



そう言ってプルタブを開けてジュースをごくごくと飲む。

冷たくておいしい。