外ではミーンミーンとセミが鳴いている。
教室ではみんな明日からの夏休みにウキウキしている。
「じゃあ夏休み、事故には気をつけろ。あと宿題は忘れるな!」
原田先生はそう言って教室を出て行った。
「じゃあ真子、また連絡するね!」
毎年恒例のハワイに出かけるために、秋はそう言って足早に教室を出た。
あたしはカバンを持って啓太の席に行く。
部活が終わってもちょくちょくサッカー部の練習に加わってるみたい。
大学はサッカーが強いとこに行くって言ってた。
あの試合に負けたのが相当悔しかったんだろう。
「真子、気をつけて帰れよ。あと大樹がお前とお祭り行きたいって言ってたぞ」
そう言われて去年のことを思い出した。
去年は隼人くんと行ったんだよね。
でも大ちゃんのお願いは断れない。
「うん、いいよって大ちゃんに言っといて」
そう言って笑う。
啓太はなにか言いたそうにしてたけど、
「おい!戸川!早く行くぞ!!」
廊下から笹垣君が啓太を呼ぶ。
「おう!今行く!!じゃあまた連絡するわ!」
そう言って教室を出て行った。
あたしは去年は大荷物だったけど、今年はちょこちょこ持って帰って荷物は少ない。
靴箱まで行くと、やっぱり隼人くんがいた。
なんとなく、いると思ってたから。