「あそこにいる子たちが被害者の子供です」
服部がそう言って指さす方には子供が2人、縁側で座っている。
俺はその子たちのもとに行こうと思ったけど服部に止められた。
「ダメですよ!桑原さん顔が怖いんだからすぐ泣かれちゃいます!」
そう言った服部の頭をバシンと叩く。
そして2人のもとに向かった。
近づくと、2人はゆっくりと顔を上げた。
どのくらい泣いたんだろう。弟の方はまだ涙ぐんでいる。
「よう、坊主ども。喉乾いたろ?これ飲め」
そう言って俺はさっき買ってきたカルピスのペットボトルを2人に渡した。
「…ありがとうございます」
兄貴の方はそう言って俺からペットボトルを受け取った。
「ほら、お前も」
そう言って弟の方にも言ったけど、弟は一向に受け取ろうとしない。
そして口を開いた。
「知らない人から…何かもらっちゃいけないから」
そう言って俯いた。
俺はあぁ、と思った。
「そうだな。偉いぞ、坊主」
俺は弟の方の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「俺は桑原大二だ。これでも刑事なんだぞ」
そう言って名刺を2人に渡した。
「ほら、これで知らない人じゃないからな。飲め」
そう言うと弟の方は俺からペットボトルを受け取った。
「ありがと…」
弟の方はペットボトルを開けてカルピスをごくごくと飲む。
それを見て兄貴の方もキャップを開けて飲み始めた。