今からPK戦だ。
「あ、なんだかあたし緊張してトイレ行きたい」
秋が隣でそんなことを言う。
「だ、ダメだよ!もう始まるから!!」
そう言って秋をその場に座らせる。
あたしはグランドを見る。
啓太がキーパーの子にデコピンをしてるのが見えた。
きっとあの子の緊張を解いてあげようとしてるんだ。
自分も緊張してるくせに。
PK戦は相手チームかららしい。
一人目…決められてしまった。
うちの一人目は見たことないから1年か2年の子だろう。
なんとかキーパーとは違うところに蹴って決めた。
「あ~この緊張感ホント無理」
隣で秋がハンカチを口に当ててみている。
あたしも緊張とか苦手だから。
その時星城の応援が沸いた。
相手チームが外したのだ。
そして2番手、4組の奥山くんは軽くゴールを決める。
3番手は相手が入れて、こっちの後藤くんは外してしまった。
啓太は悔しそうにする後藤くんに何か言っている。
これで2対2の同点。
相手チームの4番目が入れる。
これで啓太が外して、向こうが入ればこっちが負けてしまう。
あたしは手を握り締める。
啓太、ガンバレ!!