俺は新学期しょっぱなから当番だった。
しかも今年も栗原花梨とクラスが一緒。2年2組だ。
放課後担任に荷物を職員室に持ってくるように頼まれた。
コイツは俺のことが好きらしい。
いっつもべたべたとくっついてくる。
俺はこういう鼻をつく香水の匂いが苦手だ。
真子先輩みたいな、ほんのり香る匂いが好き。
って何考えてんだ俺!!
「ねぇ隼人~」
職員室に荷物を置いて教室に戻る途中、栗原が口を開いた。
「な、なに?」
真子先輩のことを考えていたからちょっとびっくりした。
「今日亜美とか武志とかとカラオケ行くんだけどさ、隼人も行こうよ~」
俺の腕に手を絡めて上目使いでそう言う。
こういうの、ホントに苦手だ。
「あ~俺ちょっと今日はダメだわ~」
やんわり栗原の手を離す。
すると栗原は頬を膨らまして、
「最近隼人付き合い悪いじゃん」
そう言った。
その時、ちょうど靴箱のところに先輩が見えた気がした。