「ほらよ」
朝、学校に行くと啓太がなにやらピンクの可愛い袋をくれた。
「なに?」
あたしは首を傾げて聞くと、啓太は眉を歪めた。
「今日はホワイトデーだろ?お返しだよ、お返し!」
そう言ってあたしに袋を無理やり押し付けた。
「あ、ありがと」
ちょうどその時、真子が教室に入って来た。
啓太の表情が少し緊張したように思えた。
あたしはそれを見てニヤニヤ笑った。
「な、なんだよ」
あたしが笑ってるのに気付いて啓太がギロッと睨む。
睨んでるのに頬が赤いって…
「秋も啓太もおはよ~!」
真子がそう言って席に座った。
「バ、バレンタインのお返し」
啓太が真子にあたしと同じ袋を渡す。
もっといい渡し方ないのかな~とか思ったけど、まぁ、啓太らしいやと思った。
「ありがとっ!」
ニコッと笑う真子。
その笑顔を見て啓太はさらに頬が赤くなる。
こいつ本当に真子が好きなんだな。
でも真子は今多分隼人くんに気持ちがあると思う。
そう思ったら啓太は可哀そうだけど、気持ちの問題だからしょうがない。
あたしは心の中で啓太を応援した。
一応2人ともあたしの親友だから。