「…ぱい」
「ん…」
「真子先輩」
耳元でそっとあたしを呼ぶ声が聞こえる。
「…はや…とくん?」
「気分はどう?」
隼人くんに起こされてあたしは起き上がった。
さっきより、だいぶだるくはなくなった。
「うん、だいぶいいよ」
そう言って笑った。
「よかった。汗かいたでしょ?こんなんしかないけど着替えて」
隼人くんはジャージとパーカーを貸してくれた。
確かに汗かいて気持ちが悪い。
「ホントにありがとね。着替えさせてもらう」
そう言って着替えを受け取った。
隼人くんが部屋から出て行ったあと、あたしは着替えた。
入らなかったらどうしようと思ったけど、着てみたらぶかぶか。
やっぱりあんな可愛くても男の子なんだな。
そう思っていたらドアがノックされた。
「着替えた~?」
「うん!」
部屋のドアが開いて、隼人くんが顔を出した。
そして…
「……っ」
隼人くんは頬を赤くして固まった。
な、なに?そんなこの服おかしいかな?
キョロキョロと自分が着てる服を見てもおかしいとこはない。
すこしダボダボしてるだけ。
「は、隼人くん?」
あたしがそう言うと隼人くんはハッとしたように動き出した。
「あ、ご、ごめん!じゃあ家まで送るよ」
そう言ってあたしの制服が入った紙袋とスクール鞄を肩に担いだ。
「自分のだしあたし持つよ!」
あたしがそう言っても隼人くんは聞く耳を持たない。
結局荷物は持ってもらうことにした。