明日は真子先輩が家に来る。
「ちょっと兄貴!ここもちゃんと拭いておいてよ!」
兄貴に文句を言う。
初めて先輩を家に入れた時は、緊急事態だったからしょうがなかったけど、
今回は念入りに掃除をする。
「お前、彼女にそんないいとこ見せたいのかよ~」
そう言って笑いながらテーブルを拭く兄貴。
「…見せたいよ。だって本当に好きなんだもん」
明日先輩に食べてもらおうと思ってるビーフシチュー。
時間をかけた方がおいしくできるんだ。
その支度をしながらそう呟くと、兄貴が噴出した。
「ククク、隼人がそんなに夢中になるような女、早く見たいな」
そう言って俺を見て笑う。
俺も先輩を思い出して顔がにやける。
「言っとくけど、絶対惚れるなよ!」
俺がそう注意すると兄貴はさらに笑った。
「ははっ!大丈夫。俺って一途だから」
そう言ってテレビを動かして棚を拭く。
あぁ、そう言えば兄貴も気になるやついるって言ってたっけ。
「俺、兄貴の好きな人も非常に気になる」
牛肉の筋を取りながら兄貴に言った。
すると兄貴もははっと笑って
「いつか連れてきてもいいけど、惚れるなよ!」
そう言っって2人して笑った。