その言葉に、私はハッとして体を起こした。

「どうしよう! 大変!」
「何が?」

 晃一が驚いたように瞬きをした。

「だって、美佳たちの思惑通りになっちゃったよぅ」

 困り果てる私を見て、晃一が苦笑した。

「結果的にそうなっただけだよ」
「どうしよう、やだなぁ」
「なんで?」
「だって……偽りの姿を好きになったみたいだもん」
「そんなことないよ。ちゃんと説明すれば、あいつらにもわかってもらえるさ」
「ええー? 全部説明しちゃうわけ?」

 彼女がいる誠一さんの家にバレンタインデーに押しかけていった話とか、無理してハイヒールを履いて靴擦れしたとか、恥ずかしすぎて説明したくないんですけど!

 頬をぷっと膨らませたら、晃一がふっと微笑んだ。

「俺は理想とか考える前に明梨のことを好きになってたけど」
「そ、そう?」
「うん。好きになったから、俺は明梨が俺の理想なんだって思った」

 甘い笑顔でじっと見つめられてそんなことを言われると、嬉しくてくすぐったくて照れくさくてにやけてしまう。