「俺、前から思ってたんだけど、晃一は明梨のことを気に入ってると思う」
「えー? それはないと思うよ。私の顔を見ればイヤなことばかり言うのに」

 私のことを、小さい頃から知っていて男女を超越した関係だから、ストレスのはけ口にしてるんじゃないかと思うくらい。

 私の言葉を聞いて、陽太が考えながら言う。

「まぁ普段はそうだけどさ」
「どうして陽太はそう思うの?」

 美佳に訊かれて陽太が答える。

「いや……前に一度、晃一と一緒に合コンに行ったことがあるだけど、ああいう場って女の子たちは気を遣って上品に食べるだろ? それを見て、晃一がボソッと言ったんだ。『一緒にメシを食うなら、明梨みたいに好きなものを好きなだけ、おいしそうに食べる子がいいな』って。それで『明梨のことを好きなんだろ?』って訊いたんだけど、あいつ、『明梨にはずっと好きな男がいるから』としか答えなかったんだ」

 その言葉に美佳が即座に反応する。

「えーっ、そんなの知らない!」
「そりゃ、まあ、晃一は俺のダチだし、あいつが肯定しなかった気持ちを俺が勝手にしゃべるわけにはいかないだろ?」