鼓動が早くなる。

嫌や予感がした。



走ってエレベーターに乗り込む。



もう一つの足音も早くなった。



早くしまれ…!!


その思いで閉じるボタンを

連打する。




大きくなってくる足音。

膨らむ恐怖。

私は押しつぶされそうだった。




閉じ…た。

私はもう追いつかれまいと

落ち着いた。



その時だった。



ガンッ


勢い置くエレベーターのドアに

体当たりする人が。



黒い帽子に黒い服。

いかにも怪しい人って感じの人が。



一瞬だけあった目。

にやりと笑った顔。



私はエレベーターから降り、

走って家に入る。



『ママ…!!』