ひとつ、またひとつ、

涙がこぼれ落ちる。


そしてそれは、麻里の腕の中にいる、

小さな赤ちゃんの頬に落ちた。


「うっうっ…」


声をあげながら、麻里に手を伸ばす子供。

泣いている麻里を、心配しているようだった。


「麻里…」


俺は麻里の隣に座って、そっと涙を拭った。

麻里は必死に涙を拭って、顔を上げた。


「翼…」


弱々しく、俺の名前を呼ぶ麻里。


「ん?」


俺は優しく相槌を打った。