俺の前を歩くその人は、麻里の母親だ。

麻里は父親似って言ってたけど、確かに母親とは似てない。

似てるのは、声だけか?


「麻里、中にいるから」


リビングの扉の前で立ち止まり、母親は俺に言った。

そして、ドアを開ける。


やっと…

やっと麻里に会える。


だいたい、1年半ぶり。

俺のこと、覚えてるかな?

“知らない”なんて言われたら、

俺へこむかも…


それでも、麻里に会えるんだ。

大好きな、麻里に……


俺は、一歩足を踏み入れた。