インターホンに、手を伸ばす。

だけど、なかなか押すことができない。


今更会って、麻里はどんな顔をするんだろうか?

…迷惑じゃないだろうか。


今になって、マイナスな考えが浮かんでくる。


俺は必死に、隼多の言葉を思い出した。


後悔するな、胸張って行ってこい。


隼多からもらった勇気、無駄にするわけにはいかない。


「…よしっ!」


俺は気合いを入れ直して、インターホンを押した。

微かに、ピンポーンと音がした。


もう、後戻りはできない。

当たって、砕けるだけ。