麻里が落ち着いてきた頃、

俺は麻里から離れた。


必死に涙を拭う麻里。

そして、俺を見上げた。


「翼…」


弱々しい声で俺を呼ぶから、

優しく『ん?』と相槌を打った。


「あたし…」


言葉を詰まらせる麻里。

言おうか、言わないか。

迷ってるようだった。


俺は麻里の言葉を待った。

麻里が言いたくないなら言わなくていい。


言いたくなった時に、言ってほしかったから。


「あたしね…」


麻里は口を開いた。