「そろそろ帰ろうか」

「え〜っ、まだ主任に聞きたい事、沢山あるんですよ〜」

「わかった、わかった。また今度話そ」

「本当ですかぁ?」

「もう香山さんの聞きたいような話のネタはないかもしれないけど」

「まだまだありますって〜」

「あ〜、わかったから。とにかく今日は帰ろうね」

目の座ってきた香山さんを立ち上がらせて店を出る。駅まで向かう道すがら香山さんはやたら絡んできた。

「主任〜、私、今まで主任って、芸能人にも男にも興味ない仕事人間だと思ってましたぁ」

男にもって…。

「だから、なんか近寄り難いとこあるって思ってたんですけどぉ〜」

ふ〜ん、私って、そんな風に思われてたんだ。香山さんがそう思うって事は、大概の会社の人間にそう思われてるってことよね。