「いらっしゃいませ~」

 街灯も乏しい路地を歩いて、ようやく美貴は小さなコンビニにたどり着いた。黒縁の小柄で陰気臭い男性店員が一人レジに立っている。美貴はドキドキしながら店内に入っていくと、おにぎりと飲み物をカゴに入れてレジへ持っていった。

「カードでお願いします」

「かしこまりました~」

 美貴は、あまり現金を持ち歩かず、買い物をした際には全て父から持たされたクレジットカードという名の魔法のカードを使っていた。あまりカードを使わないようにはしているが、どうしても欲しいものがあるときは、心の中で父にお礼を言いながらいそいそと使ってしまうのだった。

「おにいさ~ん、三番の煙草ちょ~だい」

 するとその時、数人の柄の悪そうな少年が店に入ってきた。まだあどけなさの残る顔で明らかに未成年だというのに、煙草を買おうとレジの前に立った。


「あ、あの……身分証明書――」

「あぁあ!?」

 恐る恐る男性店員が身分証の提示を求めるが、少年たちは眉を歪めて脅すような態度をとった。

「ひっ!?」

 黒縁眼鏡の店員は完全に怯み、震える手でその少年に煙草を手渡した。

「どーも」

 会計を済ませ、少年たちはケラケラと笑いながら店の外に出ると、手慣れた手つきで箱のフィルムをむきとった。早くどこかへ行って欲しいのに寒い中、その少年たちは出入口付近でしゃがみ込んでたむろし始めてしまった。