美貴は、朝から何も口にしていなかった。昨夜は、あまりにも緊張しすぎて眠れなかったからだ。水野の都合で出発が午後になったのをいいことに、ゆっくり寝ていたらあっという間に昼の十二時になっていた。そして慌ててシャワーを浴びたり、メイクをして髪の毛などを整えていたら、食事をする暇もなく水野が迎えに来る時間になってしまったのだ。新幹線の中で移動販売が何度か横切ったが、引っ込み思案な性格が邪魔して飲み物すら買うことができなかった。


(そうだ! コンビニ!)


 美貴は思い立ってこの辺で一番近いコンビニを地図アプリで検索した。すると、運のいいことに、ここから数メートル歩いたところにコンビニマークを発見した。


(これで飢えをしのげる! よかった!)


 美貴は重たいバッグを担ぎ直して勇んでコンビニへ向かった。