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 ――新幹線車内。


(眠い……)


 午前中に東京を出る予定だったが、水野の仕事の都合で午後の出発になってしまった。


 美貴は新幹線の切符をどうやって購入したらいいのかわからずに戸惑ったが、ネットで先に調べておいたおかげで水野に白い目で見られずにすんだ。しかも、切符を購入した時の意外そうな水野の顔を思い出すと、少し小馬鹿にされたような気になって複雑だった。


 もう随分と東京から離れたところへ来てしまった。最初は遠足に行くようなノリでウキウキしていたが、車窓から見える雪景色を見ていると、徐々に孤独感が生まれてきた。


 外は横殴りで雪が降っている。風も強そうだ。今、新幹線の屋根が吹っ飛んだら一瞬で凍りついてしまうだろう。そんな自然の厳しさを目の当たりにしていると、まるでこれから自分の身に起こる何かの前兆のように思えてならなかった。