「行こう」

勇の声に促されて優は立ち上がり、電話で「パーティはキャンセルする」と連絡をいれ、父と一緒にクリスマスの町に出た。


どこに行こうかと迷うこともなく、父が行きつけの小料理屋をリクエストしてきた。
実家から歩いて20分ほどの距離にあり、且つ父しか知らないお気に入りの癒しの店だという。
勇は「ここのところ忙しくて行けなかったんだ」と、うれしそうな顔をしてのれんをくぐった。
クリスマスなどには全く影響されないらしく、店には常連らしき人が静かに酒を飲んでいて、勇は「いつも通りのにぎわい方だな」と喜んだ。