「なに、それ? いやみ? 優君らしくないね。美弥さんのこと、まだ好きってことかな。かばうこともできないくせに」
「それは……」

昨晩のケヤキ坂での状況を思い出し、言い返す言葉が見つからなかった。
確かに自分は何も言わず、綾香が美弥が責めるのを傍観し、それどころか生美が言ったように綾香と同じようなことを考えた。

「美弥さんを好きだなんていう権利ないよ。美弥さんだけ悪者にして。どれだけ傷つけたと思ってるんだよ。彼女になに言われたって、説明くらいできるだろ。ていうか、なんで別れなかったの?」
「彼女にも事情がある。俺の責任だからすぐには別れることができなかった」
「自分に非があるからって、別れようと思った人と1年も付き合えるとこが優くんだね。信じられないよ」

覚めた表情とは裏腹の、生美の怒りが伝わってきた。