バンッ!


うっかり彼女に見とれていたら持っていた荷物を全部落としてしまった。


やばっ!落とした!


慌てて拾おうとすると彼女が俺に気がついたようにこちらに振り向いた。


「あ!大丈夫ですか?」


心配そうにこちらに駆け寄ってくる彼女は遠目で見るよりもとても綺麗で。

無意識に顔が赤くなっていくのが自分でも分かった。


「あ、うん!ごめん邪魔して!」


「いえ、もう終わりにしようとしていたところなので」



そう言いながら荷物を拾うのを手伝ってくれた彼女はにこりと微笑む。


その仕草に俺はまたドキッ、と心臓が高鳴った。


「これで全部ですかね?」


「え!?」


気がつくともう全部拾い終わっていて。
全部彼女が拾ってくれたのだと認識するまで少し時間がかかった。