だもんって…

子供が駄々をこねるように騒ぐ慧を尻目に俺、羽崎蓮(はざきれん)はまたため息をつく。



「そんなに良いもんじゃねぇよ、コクられたって。自分が好きじゃなきゃ意味ない」


ケロッとそう言うも、慧はまた目を見開いて口を開く。


「なーにケロッとそんなこと言ってんだよ、もったいねー!そんなこと繰り返してきて蓮今まで彼女作ったことないじゃん」


「なっ、いいだろ別に!自分の勝手だ!」


そう。慧の言う通り俺は今まで一度も彼女を作ったことがない。

だって、自分が好きでもないやつと付き合いたくないじゃん?

それに告白して来るやつらは大体最初に「一目見たときから好きでした」っていうお決まりのセリフを言ってくる。

一目見たときって何?顔で選んだってこと?

それって俺の中身を見てないじゃん。

そんなこんなの繰り返しで俺は今まで一度も彼女を作ったことがない。





…いや、作りたくないんだ。