蒼side


屋上に入るためのドアノブをひねると一番最初に目に入ったのは昨日の彼だった。



少し茶色がかった黒髪。
つり目だけれどどこか優しさを含んだまっすぐな瞳。
絵本に出てくる王子様みたいな人だと思った。



きっと普通の女の子だったら一目で恋に落ちてしまうのだろうなと考えていた。



「あ!来てくれたんだ。良かった!」



さっきまでクールに見えていた彼は子犬のように笑いながらこっちに走ってきて。


その様子がどこか面白くて自然に笑みがこぼれた。