美桜に言われて心臓の鼓動が早くなったのが分かった。


昔の思い出が脳裏にフラッシュバックする。



違う。彼は…水嶋蓮くんは、あの人とは違う。



違う。違うよ。



自分に言い聞かせるように深い深呼吸をして美桜をまっすぐ見つめる。


少しふらつく足元を踏ん張りつつ、笑顔で私は口を開いた。


「大丈夫だよ。ただ今日だけお昼食べる約束しただけだから。………それに、もうあの時みたいにならないよ。だって、そういう感情を持ってる訳じゃないから」


「……そう。ならいいけど。無理しないでね」