次の日の朝、電車が思ったより早く着いて、教室には私と長谷川くんの二人だった。




どうしよう。
すごく気まずい。






「あのさ…、」







「…な、なにかな?」







「…橘は俺が苦手?」








そう聞いてきた長谷川くん。
全然大丈夫じゃないじゃんか!麻花め。







「…そんなのじゃなくて、ね、私男の人が苦手で…」、







「え?そうだったの?」







きょとんとする長谷川くん。








「なーんだ。俺が個人的に嫌われてんのかと思った。」








「そんなことないよ!私、いつも挨拶返さなきゃって思ってるもん。」








そんなことを話してると、麻花が教室に入ってきた。







「お、都合よく二人でいるな。まぁ、いいや。入ってよ。」







廊下に目をやってそう言う麻花。







「なに?」







「まぁいいから!」








入ってきたのは、黒髪の綺麗な男の子。







「千葉真宙くん。6組なんだけど、 里依紗にぴったりだと思って!」







「ぴ、ぴったりって?」







「だーかーら、里依紗は消極的だから、千葉が合うと思ったの!とにかく、話してみなよ?」








そう言われてなぜか教室を追い出された。



目をパチくりする私と千葉くんと言う人。






「あの…、なんかほんとにごめんなさい…。」







「なにが?」







「私のせいでこんなふうになっちゃって…。麻花暴走しちゃうくせがあって…」







「俺も橘さんと話したかったし、大丈夫だよ。」






…今までに好意を持ってくれる人は何人もいた。
だけど、そんな言葉を聞く度にどうしても無理で受け止められなかった。




…でも、なぜか千葉くんの話したかったの言葉は落ち着くような、そんな言葉だったんだ。