「里依紗!帰ろ!」





「うん。」








「山尾、帰んの?じゃーな!」







「うん!じゃあね、長谷川。」








「橘さんも、またね!」







「あ、うん…。」








まただ。
話しかけてくれたのにうまく返事ができない。
きっと、相手にも聞こえてない。




私は橘里依紗。
17歳。

いつも消極的ではっきりしない性格の自分の事は嫌いで仕方ない。

そんな私と正反対の友達、山尾麻花。
明るくて積極的で頼れる存在。

クラスでも人気者だ。







「里依紗、大丈夫?」







「うん。また長谷川くんに挨拶できなかった…。いつも言ってくれるのに。」







「長谷川なら大丈夫だよ!里依紗は男子苦手なんだから仕方ないって。」







そう、消極的ではっきりしない性格な上に、男の人が苦手な私はほとんど会話が成立しない。






「里依紗、元気だしな!あ、そうだ。明日いい人連れてきてあげる!」







麻花はそう言って一人で頷いていた。