男はクク、と笑う。


『「なぜわたしなの?」か?』


男は吐き捨てるように言う。


『香織ちゃんもそいつと同じ、傲慢な生きてる人間。…まあ、強いて言えば、香織ちゃんが送ってきたメールにムカついたから?ってとこ。』


体中から力が抜けて、わたしはゆらりと美香を見た。


『美香…お願い…。わたし…わたし、死にたくない…。』


美香は少し困ったように、でもどこか嬉しそうに、わたしに言った。






『香織…ここはとても、淋しいの。』


美香の半分しかない口元は確かに笑っていた。