耳まで口の端を吊り上げながら、男もエレベーターから降りて来る。


『…来ないで、来ないで…。』


わたしはその男から目を離せないまま後退りした。


トン、と何かにぶつかる。


何も考えられないまま振り向くと一




そこに、変わり果てた親友の姿があった。


『み、美…香?』


わたしは声を上げた。


体のほとんどはすでに無くなり、かろうじて半分残っているだけのその顔に、赤黒い眼球がやけに目立つ。


美香は、以前と変わらない調子でわたしに言った。


『香織…、待ってたよ…。』