震えながら、わたしはゆっくり振り返る…。


そこに、わたしと同じ歳くらいの男の人が立っていた。





一わたしは絶望する一






一これは、悪戯なんかじゃ…無かった…一




ひと目でわかった。


その男は、自分の耳に美香の携帯を充てながら不気味に笑っていた。


その口は耳まで吊り上がり…


目は…


目は、ぽっかりと黒い穴を開けていた。


わたしの目の前にあった眼球が、男のその空洞へゆらゆらと潜り込む。


くるり、と空洞の中で一回転して…男は機械のようにひとつ瞬きをした。