『香織、もっとご飯食べなきゃ駄目じゃない。』


夕飯時、お母さんがわたしに言った。


『そんなに痩せちゃって…。』


心配そうにお母さんがわたしの顔を覗き込む。


『…いくら仲良しの美香ちゃんが亡くなったからって…、これじゃ、痩せ過ぎよ。』


わたしはお母さんに向かって顔を上げた。


そして、すぐ目を伏せる。


お母さんの肩越しのキッチンの向こうに、あの目があったからだ。


『あそこに、目がある…。』


呟いてみるが、お母さんにはあの「眼球」が見えないのは、もうわかっていた。