聞き慣れない男の声に、どこかホッとしているわたしがいた。


よかった、美香じゃない。


死んだ、美香からじゃ無かった…!



体中から緊張が抜け、わたしはその男に聞いた。


『あの…その携帯、わたしの友達のなんですけど…。』


わたしの問い掛けに、男はしばらく黙った後、クク、と喉を鳴らして笑う。


嫌な、笑いだった。


その笑いを掻き消すように、わたしは続けて言った。


『その携帯電話の持ち主…もう、亡くなったてるんです。…どうしてアナタが持っているんですか?』