そして程なくして、警察官も続々とやってきた。


「明日奈・・・間に合ってよかった。
君だけで逃げていたのかい？」


「いえ、はるかが物入れの中に隠れてるわ。」


明日奈がすぐにはるかに声をかけると、はるかは物入れから出てきて幸樹の姿を見て、喜んだ。


警察の事情聴取を受けている頃に、輝彦も帰ってきて、はるかに駆け寄った。


「はるか・・・君が大変なときに、すぐに電話に出てあげられなくてごめん。
祥万くんから連絡をもらって、慌てて帰ってきたんだけど・・・ほんとに無事でよかった。」


「いいのよ。重要な会議があるのはわかってたから。
それにね、幸樹先生がかっこよかったって、明日奈が何度も話すしね。」


「ちょ、ちょっとぉ・・・はるか。
私はそんな。」


「明日奈・・・ちょっといいかな。」


「は、はい。」


幸樹に呼び出された明日奈は、不安になりながらも幸樹の後をついていった。


「あのさぁ・・・ずっとつきまとっていた連中が逮捕されて、君は自由の身になったわけだけど、これからどこで勉強するのかな。」


「どこで勉強って・・・今までどおりじゃ、ダメなんですか？」


「そもそもはストーカー対策でうちに住んでもらったんだけど、やっぱりご家族でいた方が自然だろうなって。」


「先生は私がいたら迷惑なんですか！」


「いや、俺は・・・迷惑なんて思ってない。
居てくれた方がうれしいし、助かるけど・・・はるかたちや祥万たちもいなくなったらさぁ、君と２人で食事することになると思うし、君は困るんじゃないかと。」


「私が困る？」


「だからその、お父さんや崇さんや優奈ちゃんが。」


「あの、優奈と先生の弟さんの和樹さんは結婚を前提に、付き合っているときいていますけど。」


「そ、そうなのかい？そっか・・・そんなにすすんでいたのか。」


「まぁ、そんなに私に出ていってほしいのでしたら、明日にでも整理していつ出ていくのか明日の夜にでもご報告しま・・・きゃっ！！」


幸樹は明日奈を後ろからギュッと抱きしめて言った。


「どうして俺が君を邪魔者扱いすると思うのかなぁ。
俺が精一杯我慢してると思ってはくれないわけ？」


「えっ？」


「おじさんだからバカにしてるのか？
俺もストーカー扱いされてるってこと？
俺は、好きになってしまった女に逃げられるのは、もう嫌なんだよ。」


「もうってことは・・・以前逃げられたことがあるの？」


「ぐ・・・突っ込むのはそこかよ。」


「逃げられたっていうのは、俺の思い込みだったのかもしれないけど・・・好きになった女は過去にいた。
だけど、にこやかにさようならを言って、帰っていった。
そしてずっと音信不通さ。
俺も、あとを追おうとは思わなかった。

まさか、ファンも多いフードアシスタントの風巻明日奈が俺の家にやってきて、俺の母が作ったトラップが役にたって、俺が池の鯉をばらまいて犯人たちを捕まえたなんてシナリオは誰が考えただろうか？
おどろきだよな。」


「すごくトラップのおかげで助かったわ。
もし、私の前にやってきたのが２人以上だったら、私はとっくに・・・何をされてたかわからないもの。」