トラップの修理はまるまる3日で無事終了した。


「というわけで、俺の母親の考えたトラップ装置の実験をしたいと思う。
ここにいる男たちはみんな運動神経がいいと信頼している。

諸君の健闘を祈る!」


「ちょ、ちょっと待て!なんでおまえの母ちゃんのトラップの実験を俺たちでやらされることになるんだよ。」


「心配しなくても、弾の類はペイント弾だし、落とし穴にもテストにはウレタンマットを用意してるから、危険じゃないようにしてる。
いいアスレチックだと思ってくれればいいんだ。」


「じゃあ、おまえも参加しろよ!
年だからなんていって逃げるなよ。おまえと俺とは大差ないはずだからなっ!」


「わかった、おまえに負ける気はないよ。
布施輝彦!おまえもはるかの前ではいいかっこしたいらしいな。」


「その言葉、おまえにも返してやる。
明日奈を守るのが口だけになるなよ。ふふっ」


「わかってるさ。」


結局、邸周りにあるトラップ競技は明日奈の号令と操作で行われることになった。


「いいですね。位置について・・・用意!・・・ドン!!」


幸樹、和樹、輝彦、ライエル、祥万が一斉に最初のトラップである落とし穴部分に到達した。


「うわぁ!!なんだこりゃ。」


「くそぅ、走って跳べたはずだったのに、周りがこんなに滑りやすくできてたなんて!」


「ライ、先にいくから。ゆっくり復帰して。」


祥万は落とし穴に落ちたライに声をかけると、先を目指した。


ライエル以外の4人が次に差し掛かったのは、滑る床だった。


「な、なんのこれしき!!」


「和樹、この床は根性だけじゃ登れないんだ!
たぶん、滑らない部分がどこかにある。」


「兄貴はなんでこの場面で冷静なんだよ。
ほら、ずるずる下がっていく。わぁあああ!!!」


「和樹っ!くっ・・・はっ、端の部分か。
おい、床の端を走れ。そしたら通り過ぎれるぞ。」


すべり床で下まで落ちなかったのは、幸樹、輝彦、祥万だった。


3人が次に遭遇したのは命にかかわる運試しだった。


「おぃ・・・これはダメだろ。
命の方が吹っ飛んでしまう。」

「心配するな、死にはしないさ。」


「でもなぁ、踏むところが悪いと、自分に矢が飛んでくるんだぞ!!
これをどうやってよけろっていうんだよ。」

幸樹はその場で考えた。
修理をしているときのこと、何か音が聞こえてた気がする・・・。

矢とともに鳴っていた音楽。

ププププ~~♪ ププププ~♪ ププププ~♪ ププププ~♪

「ははっ、森のくまさんなんてかわいいなぁ。」


「そうか、森のくまさんだ・・・ありがとう祥万!って・・・あれ?」


祥万と幸樹が前を向くと、屋に当たって倒れている輝彦がいた。


「あ、輝彦さんは森のくまさん以外のところを踏んでしまったから、矢にやられちゃったみたい。
気絶しちゃってる。
こりゃ、看護婦のはるかちゃんに来てもらうしかないね。」


「残り1つだ、行こう・・・祥万。」