クスクス笑いながら2人は仲良く、手をつないだまま台所まで移動し、買ってきたものを冷蔵庫にいれた。

明日奈はいつものクセで、カメの奈々を連れ歩いてしまって今日ほどしまったと思ったことはなかった。


(奈々がもし胸元にいなかったら、私はあれからどうなっちゃったんだろう?)

考えるほど、ドキドキして顔が熱くなる。

そして、耳元の吐息に思わず感じてしまい・・・。


「えっ?」


「あれ、きいてなかったのか?
ホームセンターで買ってきたやつ、運ぶの手伝ってくれないか?
これから修理していくから。
君も見ておいた方がいいと思うんだ。」


「は、はい。」


幸樹の後をついていくと、落とし穴の装置が隠れていて、穴があく仕掛け近くがうまくあかないでいる。

「あぁ・・・古くて腐ってるな。
買ってきて正解だ。
付け替えなきゃな。」


「なんかすごい装置ですね。」


「そうだね。ここまで手の込んだ落とし穴作らなくってもねぇ・・・って思っただろ?」


「え、ええ。でも・・・ふふふっ。」


「何がおかしいんだ?」


「だって、あなたはお母様によく似てるってこと。
お母様は好きな自分のお家の敷地に、すごいトラップをいろいろ作って楽しんでいたんでしょ。
きっと周りからは悪趣味だとか言われたんじゃないかしら。

でも、ご本人はとっても楽しかったのよ。
落とし穴1つも工夫をこらして、みんなをびっくりさせようとするの。
あなただって、カメレオンと仲良しだったり、毒蛇をつかんでたり、ワニやカバを突っついてたり。
周りはヒヤヒヤ心配してる中、楽しそうにお仕事してるんでしょう。」


「あ・・・。」


「ほんとにおかしな親子!」

「確かに・・・そうだ。」


「あれ、失礼なこと言うなって怒らないの?」


「まぁ本人がここにいるわけじゃないし、そのとおりなことばかりだ。
俺も母さんのトラップ好きは嫌いじゃないんだ。
遊び心満載で、自慢げに話してくれたときの母さんの笑顔がとても好きだったから。」


「でもどうして急に、トラップを修理してまわろうなんて?」


「明日奈のお父さんに君を守るからって言ってしまったからね。
母さんのとっておきのトラップを使わないなんてもったいないだろう?

俺と母さんとで君を守るつもりだ。
だから、修理するのを手伝ってほしい。」


「OKよ。私だってただ守られてるだけなんて嫌よ。
お母様のトラップをしっかり使えるようになってみせるわ。」


「その意気だ!
基本は自分の身は自分で守れだからね。」


「ええ。」