病院では先に見舞っていた優奈と崇が明日奈が来るなり駆け寄った。

「明日奈、父さんは大丈夫だ。
見た目はハデにやられたなって感じだけど、ほとんど打撲だけだ。」


「だけど、お父様は私のために・・・。」


「お姉ちゃんが悪いんじゃないって。
追っかけてくるヤツらが異常なの。

それにアシスタントだってお姉ちゃんがはもうやめてるのにしつこいとしか言えないわ。
普通じゃない人ってことよ。」


「う、うん・・・お父様の様子をみてくるわね。」


病室に入った明日奈は、包帯とガーゼで覆われた顔の父親に駆け寄って、泣きだした。


「ひどいわ!こんな・・・あんまりよ。
私・・・あいつら、殺してやる。」


「明日奈・・・おとなしいおまえがそれを言っちゃいけない。」


「でも、でもあまりにひどいことばかり・・・。
こんなのれっきとした犯罪じゃない。」


「ああ、警察も殺人未遂と傷害事件で手配してくれてるよ。
すぐに捕まるだろう。
父さんもアシスタントを早く変えていれば、こんなことにはならなかったんだよなぁ。
母さんの面影のあるおまえの顔を見ながら仕事をすれば、精力的に仕事ができたことに甘え過ぎたよ。」


「そんなこと気にしないで。
私だってずっとお父様と仕事ができてよかったと思ってるんだから。」」


「そうか・・・それならいいんだが。
それとな、犯人たちが捕まるまで、夏川さんの家に居なさい。
これは優奈と崇とも話して、決めたんだ。」


「私はかまわないし、うれしいけど・・・どうしてそんなこというの。」


「ん?夏川さんのご兄弟はみんな好青年だときいてるし、次男の芳樹くんは弁護士で情報もいろいろ教えてくれる。
和樹くんは優奈といい感じだし、お兄さんの幸樹くんもおまえと相性がいいみたいだときいたんだ。」


「えっ!?優奈が言ったの?」


「優奈も崇もな・・・ははは。イテテ・・・彼のために獣医を目指そうと思ったんだろう?」


「それは・・・まだわからないわ。
あの家で幸太郎や犬たちの世話をしていて・・・思っただけだから。
あ、幸太郎ってカメレオンなの。」


「そうか・・・。父さんはおまえが幸せになれるなら、なんでも応援するよ。
あ、幸樹くんも来てるんだろう? 呼んでくれないか。
2人で話をしたいから。」


「ええ。呼んでくるけど、私のことで変なことだけはいわないでよ。」


「わかってるよ。おまえの身を心配してる父親としてお願いするだけだ。」