莉乃に向かってまっすぐ泳ぎ手を伸ばした。


無意識に発された言葉は「莉乃」という言葉で


「俺はお前が落ちた瞬間から

お前のことを助けるために飛び込んだ」


「賢人……」


見捨てるなんて少しも思わない。


有川が飛び込んだ瞬間でさえ、


彼がどちらを助けるかなんて分からないけれど

俺は莉乃を助ける気で泳いだんだ。


「心配すんなよ。

お前……今は俺の彼女だろ?

助けないわけねーじゃん」


ぎゅっと彼女を引き寄せて頭をポンポンと叩く。

すると莉乃は少し赤い顔をして言った。


「ありがとう……賢人

そういうところ……大好き」