「必死に呼ぶ声も届かなくて、
伸ばす手も誰も救ってくれない
そんな事を思ったらどんどん体が沈んでいくのが分かった」
莉乃は俺が、未玖の方を救うって思ってたのか。
「だけど、その時賢人が俺をみろって言ってくれて
助けてくれて……本当に安心したの……っ」
手がまだ震えてる。
本当に怖かったんだろう。
俺が未玖の方を助けてたかもしれないことに。
「でもさ莉乃……
俺さ、落ちた瞬間も飛び込んだ瞬間も
お前しか見てなかったぜ」
「え?」
「莉乃が落ちて、俺も飛び込んだ
その時の俺の視界はお前でいっぱいだった。」