私の腕を引いて歩く湊人を、女の子達が黄色い声を上げながら見ている。

そして最後に、私のことじっくりと羨ましそうに見るのだ。




「愛さん、何がいいですか。」


「何でもいいよ。」


毎日繰り返される質問に、毎日同じ返答。

湊人は私の腕を離さないまま、「そうですか」と言葉を落とした。



「クロワッサンとクリームパン、それと焼きそばパン下さい。」


「はいねー。」


湊人は合計の金額を丁度出すと、パンの入った袋を受け取ってまた歩き出した。