「えっと…確か…月姫…だった気がします。」

すると、ツバサという人の目が、少しだけ輝いた。
「その他には?何か、自分のこと分からない?」

…プツ。私の中で、何かが切れた。

「何…」

「え?」

「何なのっ!?私だって、私のこと知りたいわよ!ねぇ。わかる?あなたにわかるの?自分のことが分からない人の心がっ!…分かりもしないくせに、人の心に勝手に踏み込んでこないで!!」

あぁ。言ってしまった。

私みたいなゴミが、言っていいことではないのに。

すると、ツバサという人は、

「…プッ。君、絶対空だ。ちょっと、ここで待ってて?」

そう言って、彼はなにか、黒くて四角いものを手に、離れていった。



誰?誰?

私は知らない。

あの人は…あの人は私を知っているの?

私の全てを?

私が…何者かということも?