「あんたさえ、いなければ…」

そう言って、私の肩を押した。

私が階段から落ちていくのを見ながら、

その人達は笑って、

「キエテネ」

と言う。



───いやな夢。
また、見てしまった。

あの人達は誰?どうしてそんなに消えてほしいの?

「お嬢様。お時間です。」

「もう、起きているわ。」
いつもの日常。



…え?窓が…ゆがんでる…?
ゆらゆらして、虹色の光が、一気に飛び込んでくる。






──あぁ、夢…だったのね。

だって、いつもの日常のはず…ないもの。ありえないわ。


そう。私は、お金も、地位なんてものも、住む家だって…今日の食べ物さえも…

持っていないんだもの。