思いっきりスネを蹴ったあと、狼狽えている優に追加攻撃しようとすればバカデカイ声で謝ってくるせいで店員や他の客に何度もチラ見された。

なんとなく店内にはいづらいので。



『これと、あとおしるこ缶とあんまんね』

「太んぞ」



ヤツがボソッと言った言葉を聞き逃さなかったあたしは、再度優のスネを蹴ってから店を出た。



コンビニの駐車場から道路に出たところのガードブロックの上を行ったり来たりしながら優を待つ。



数分後、コンビニ袋2つをぶら下げた優が出てきて、こっちへ向かってくる。



「よし、お前ん家行くか!」

いやいや。いきなりなんだ。
まずそんな許可は出してないし、あたしは(一応)学校へ行く。



『勝手に行ってれば?あたしは優等生チャンなんでちゃんと学校に通ってきまーす』

「ハァ?お前いねぇと開かねぇじゃん。
つーかどこが優等生だよ。言っとっけど、去年お前より俺のが出席日数多かったかんな」

『だって去年は暑くて寒かったんだもん』



そういえば、通知表の見比べをしたあたしたちはどちらも成績より何故か出席日数やら遅刻回数やらで競いあって。



たしか、ごくわずかだけどあたしが負けた気がする。



そんなことを脳内で考えていれば。


「んだそれ。どんな言い訳だよ」



そう言って、ゲラゲラ笑いだした優。



あぁ、もういいや。



『帰る』

そう言ってテクテク歩きだしたあたしを優が追ってきて。

「けっきょく帰るんじゃん」