ピロピロピラリーン



入店の合図であるチャイムが鳴ると、店内にいた数名の店員さんから「いらっしゃいませ~」と一斉に言われる。



どうしても彼の好物、ガシャガシャ君を食べたかったらいし優は真っ先にアイス売り場へ向かって行った。



あたしはというと、真っ先に大好きなスイーツコーナーに向かって行った。



あ、このキャラメルナッツロール期間限定だ。

優に買ってもらおう。



ここからでも見えるアイスコーナーに目を移すと、さっきまでいたはずの優がいない。



とりあえずこのロールケーキを持ってその姿を探す。


あ、いた。



『優~、これ買って~…、って何してんの?こんなに買うの?」



一丁前にかごなんか持ち出した優は、その中いっぱいにスナック菓子やらチョコレートやらを放りこんでいた。

…入学式はサボる予定だけど(あたしの中ではもう決定している)。



「だって家にストックねぇんだもん」



"だもん"ってなんだ。
お前が言うとキショいわ。



めんどくさいので、とは言わずに。



『だったら帰りにしなよ。そんなの学校持ってったら変な目で見られるよ」』



高校生にもなって、しかも男のくせして超ガキんちょ。



「え、だって俺もう帰るし」

『え、なんのために来たの?』

「お前の顔見るため?」

『………』

え、何コイツ~



「あ!イテテテテテテっ!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃぃ!」