*杏*
力強い腕…ゆっくり冬夜の温もりが伝わってきた
杏「冬夜…?」
冬夜「…杏はさ
いつも笑っていて楽しそうだけどさ
時々…今みたいに辛そうな顔してるんだ」
杏「冬…っ」
冬夜「黙って聞いて」
冬夜と呼ぼうとしたら冬夜の声にかき消された
冬夜「杏はさ何か隠してるだろ
一体何を隠してるんだよ」
冬夜は何かしら気付いていたんだ…
でも…どうしよう…
言いたい…助けてほしい…
でも…!
杏「ごめん…今は言えない…」
冬夜「…分かった…でもいつか教えて」
冬夜の言葉に私は顔を上げた
冬夜「…無理に聞いて悪かった
だから俺は杏が話してくれるまで気長に待つよ
けどこれだけは覚えてて
俺は…俺達はみんな杏の味方だから
だから大丈夫だよ」
さっきより強く冬夜は抱き締めてくれた
震えていたのバレたかな…
冬夜の言葉が私の心に染みる
冬夜の言葉を信じたい
私はずっと怖くて逃げていただけだった
そっと冬夜の顔を見上げると冬夜はそっと私の額に軽くキスをした
びっくりした
でも心のどこかがキュッと締め付けられた
冬夜「杏…」
私はゆっくり目を閉じると今度は唇にそっと触れた