俺達はしばらくして人間界に着いた
人間界はまだ暗闇に月明かりがさす夜だった
杏「連れてきたかった所ってここ?」
冬夜「いや、あと少し」
そう言って杏の手をひいた
少し山奥に入っていき林や草木を掻き分けいく
しばらくして着いた所はまるで大きな水溜まりのような池だった
静かな山の中で虫の鳴き声が聞こえる
空を見上げると俺達がさっきまで居た月と
何万という星が夜空で輝いていた
杏「綺麗……人間界からだとこんな風に見えるなんて知らなかった」
杏は目を輝かせながらずっと空を眺めていた
冬夜「だろ?
だけどここに連れてきたのは星を見る為だけじゃない」
杏「え?」
俺はすかさず指をパチンと鳴らすと草陰からポウッと優しい明かりが次々に出て来た
杏「何これ…?」
冬夜「蛍ってゆー地球の生き物らしいよ
不思議だよな」
杏が手を差し出すと1匹の蛍が杏の手の中に降りてきた
杏「こんなの初めて見た…
ここには不思議な生き物がいるんだね…」
杏は手の中に居る蛍をじぃっと見つめながら微笑んだ
良かった…
杏が笑ってると安心する…