キーン コーン カーン コーン


今日最後の授業の終了を知らせる機械音が校内中に響く。

創立70年の年に大改装されまだ2年目の校舎は、学びの場としては少しおしゃれ感がありすぎる様にも思えるのだが、こういう小さな名残が学校なんのだと認識させる。

「席着けよー」


僅かな絵の具の匂いと共に左の鎖骨を触りながら教室に入ってきた担任は、今日も何を考えているのか読み取れない雰囲気を纏っている。

教室内で散らばっていた全員がその声に従い席に着くが、ざわざわとした空気はさして変わらない。

「取り敢えず明日は・・・」


そこまで大きくない声量の割によく通るそれで連絡事項などを簡潔に伝える声と僅かな喧噪、そして前から勝手に耳に入ってくる関西弁を聞きながら、俺は再び窓の向こうを見る。


「――・・増えているらしいので、くれぐれも……」


何故そこまで窓の外ばかりを見るのかと尋ねられると、何も答えられなくて困るのだが。