俺たちは公園に来た。

誰もいなくて、静かで、ちょっと怖くて不気味だった。

俺と綾羽は、傍にあったブランコに座った。


「・・・・・・流也。五年前のこと、話すね。」

「・・・・・・ああ。」


綾羽は少しずつ、五年前の事故のことを語り始めた。


「私・・・・・・学校の帰り道、一人で歩いて帰っていたの。本を読みながら信号待ちしていたら、信号が青になったの。それで本をしまって、信号を渡っていると、曲がり角のところで大きいトラックがきたの。それで衝突したの。」

「・・・・・・。」


俺の頭の中に、事故の光景が思い浮かんできた。

綾羽は、角を曲がろうとしたトラックとぶつかって、事故に遭ったんだ・・・・・・。


「ぶつかってすぐ、私は意識を失ったの。しばらくして目を開けると、私は病院のベッドの上にいたの。体を起こそうとしたら、全身にすごい痛みが走ったの。私の体は、たくさんの包帯で巻かれていたの。」


さっき見た映像が、頭の中に蘇った。

綾羽はの体は、包帯でぐるぐるにまかれていて、見ていると、とても痛々しかった。


「目の前を見たら、親じゃない人がいるって思ったの。この人は他人だって。私のお母さんとお父さんじゃないって。記憶がなかったの・・・・・・。」

「・・・・・・。」


映像に流れていた綾羽は、お母さんじゃないと言って、大声で泣き叫んでいた・・・・・・。

あの光景をみた瞬間、涙が出そうになった。

というより、目に涙がたまっていて、溢れるのを抑えていたんだ・・・・・・。