「・・・・・・流也君の気持ちはよくわかった。綾羽のことをわかっている、優しくて強い男がいて、うれしい。綾羽をよろしくお願いします。」

「・・・・・・!」


綾羽のお父さんに、交際を認められたんだ・・・・・・。


「あ、ありがとうございます・・・・・・!俺、ずっと、綾羽の傍にいます・・・・・・!」

「・・・・・・わかったから、早く綾羽のところに行ってあげなさい。」

「はい!」


俺は、綾羽の家を出た。

すると、玄関の前で綾羽が泣いていた。


「・・・・・・綾羽?」


俺は綾羽に優しく話しかけた。


「りゅ、やぁっ・・・・・・。見たでしょ・・・・・・?私の・・・・・・事故に遭って、記憶をなくしたときの映像っ・・・・・・。」

「・・・・・・ああ。」

「・・・・・・見られたくなかったっ・・・・・・。あんなもの、見られたくなかったっ・・・・・・。私、事故のことだけは、はっきりと覚えているの・・・・・・。」

「・・・・・・。」

「私、五年前にねっ・・・・・・。」

「・・・・・・綾羽、つらいなら無理して話す必要はねぇから。」

「・・・・・・大丈夫、話す・・・・・・。」

「・・・・・・。」

「散歩しながら話す。近くに公園あるから、行こ。」

「ああ。」


俺と綾羽は手をつないで、暗い夜道を歩いた。