「・・・・・・これで、DVDは終わりだ。」


綾羽のお父さんはテレビの電源を消して、真剣な目で俺の方を見た。


「・・・・・・流也君。俺が君に、今の映像を見せた理由がわかったか?」

「・・・・・・え・・・・・・?」


俺は全然意味がわからなかった。

どうして綾羽のお父さんは、俺にこんな映像を見せたんだろう・・・・・・?


「・・・・・・わかりません。」


俺がそう言うと、綾羽のお父さんは深くため息をついて、こう言った。


「・・・・・・綾羽の人生は、五年前の事故で変わったんだ。綾羽のこれから先の人生、どうなるかわかるよな?」

「・・・・・・。」

「綾羽はもうすぐ、すべての記憶を失ってしまう。もう少しずつ、消え始めている。君のこともわからなくなってしまう。」

「・・・・・・。」

「君は、綾羽のことを隅々から全部知っているわけじゃないだろ?事故に遭ったその後のことも、この映像を見て初めて知っただろう?」

「・・・・・・。」

「綾羽が記憶をなくして、もう一度好きになってもらおうとしても、それは綾羽を余計に苦しめることになる。」

「・・・・・・。」

「綾羽にもう、無理に記憶を思い出させようとするな。好きになってもらおうと努力するなんてこと、二度とするな。」